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「政宗さま!いかがなされた!?」
なにごとかと慌てて戻ったベランダで小十郎が見つけたのは砕け散ったグラスの破片とトマトジュース…それと力なく手すりにもたれかかるようにしてしゃがみこんだ政宗の姿だった。
「大丈夫ですか?一体何が…まさか賊!?」
慌てて周囲の様子を伺うが、特にこれと言って妙な気配もない。
「賊じゃねぇよ、大丈夫だ」
「それでは一体何があったのです?」
「…」
「おっしゃってください!」
無視を決め込もうとする政宗。しかし小十郎は臆することなく問い詰める。
結局、折れたのは政宗の方だった。
「…ちょっとした貧血みたいなもんだ。気にすんな」
小十郎からぷいと目をそらし
気まずげに答える。
「…話は中で聞かせて頂きます。とりあえずベッドへお運びしますので、今宵の月見はお開きにいたしましょう。…失礼」
「って…ちょ…!?」
有無を言わせず座り込んだ政宗を横抱きに持ち上げる。
「こ…小十郎!おろせっ!!」
「ご自分で立ちあがれないくせに何をおっしゃいますか」
「う…」
抱き上げた主は―思ったよりずっと軽かった…
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