トマトジュースとヴァンパイア。

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「…嫌なんだよ。」 うつむき、ぽつりとつぶやく政宗の声は小さく弱々しい。 だが、今の小十郎にはそんな姿すらもが腹立たしく思えた。 「村の奴らを怯えさせるのも…お前の仲間を手にかけるのも嫌なんだ!!」 「あなた様はお優しすぎる!…この辺りの者を手にかけるのがお嫌なら隣国の者を連れて参りましょう。それならば…」 「そういう問題じゃねぇんだよ!!」 枕に拳を叩きつけ、政宗が声をあげる。 普段の冷静な政宗からは想像できないその様子に、小十郎は一瞬言葉を失った。 「政宗様…」 「俺は…お前たち人間を“餌”だと思いたくない…」 「…やはり、あなたはお優しい方だ」 小十郎はふっ、と口元に小さく笑みを浮かべ言葉を続ける。 「しかし、これ以上政宗様が弱っていかれるのは耐えられませぬ。それならば例え少しでもこの小十郎の血を…!」 小十郎は懐から短剣を取り出すと、自らの腕に刃を当てた。そして、ためらうことなく刃をひこうとした刹那― 「バカ!やめろ!!」
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