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「…ほら、あれだ。お前が吸血鬼になって昼夜逆転生活になっちまったら、畑仕事できなくなっちまうだろ?」
「…そ…それは…」
困りますな、と眉をひそめる小十郎。
「お前…主と趣味を天秤にかけてんじゃねぇよ」
政宗は拗ねるように鼻をならす。
だが、それでいい。
小十郎は、小十郎が望むように生きればいいのだから。
そんな政宗の思いを知ってか知らずか、小十郎はやんわりと微笑み、言葉を続ける。
「まあ、貴方の考えてることは大体察しております故…政宗様がいかに思われようと、この命が尽きるまで小十郎はお側におりますよ。」
「…後悔しても知らねーぞ?」
「しませんよ」
「…小十郎」
「はい?」
「俺は、お前をここに縛りつける気はないから。…だから…」
背を向け、つぶやくようにぽつりぽつりと話す政宗に小十郎はそっと声をかけた。
「…さあ、政宗様。お腹がすかれたのではありませんか?
小十郎特製のトマトジュースをお持ちしましょう。…それならば召していただけましょう?」
返事を待たず、小十郎は部屋を出ていく。
シーツを頭まで引っぱり上げ、くるまるように丸くなった政宗は遠ざかる足音を聞きながら小さく呟いた。
「ありがとな」
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