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「この構えは・・・合気道か!」
「うーん・・・僕は演舞重視の型嵌まりな合気道は好きではないんですよね。出来れば"合気"と呼んでほしいです」
無駄口を叩いている間も、トーヤは口以外はほとんど身動きしていない。
・・・刀を構えた剣術家そのもの。
もともと合気が剣術の流れを汲むことを考えれば極々自然であると言うべきか。
それに相対する倍鷹の構えは、拳を固めて顎の前に掲げるのみ。高度な構えのトーヤから見ればお粗末に見えるかもしれない。
・・・だが、倍鷹はパワー重視のストロングスタイル。握られた拳にも、楽にスチール缶をひねり潰すほどの万力が込められている。
この程度の構えしかできないのではない。
この構えこそが倍鷹に最も適する・・・!
「しかしその歳でよくそこまで武術を身につけられたな。全く、何をやったんだ?」
トーヤの制空圏に倍鷹はじわりじわりと詰め寄る。そしていつかは・・・溶け合う。
「そうですね・・・
慣れ、とでも言いましょうか」
「・・・そうかい」
小声で相槌を打ち
倍鷹は一気にトーヤの眼前へ
拳を振りかぶって踏み込んだ・・・!
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