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そしてどうやら桐夏は神に見放されているらしい。
ガチャリ、と入口からドアを開ける音がする。
飲み物を入れたビニール袋を引っ提げたトーヤが帰ってきたのだ。
「いやー疲れたつかれ・・・」
トーヤが息を止める。
もちろん視線の先は、啓太に覆いかぶさっている桐夏。
誰がどう見たって普通あんなシーンやこんなシーンを想像してしまうシチュエーションだ。
「さ、佐倉君・・・」
察してくれ、と暗に桐夏はアイコンタクトを送る。「聡明な佐倉君ならわかってくれるはず」というメッセージを視線だけで全身全霊を持って、伝える・・・!
だが残念だ桐夏。
入口からでは啓太の鼻血の血溜まりは見えない。
「・・・ごゆっくり」
バタン
スタタタタタタ
「なぜだーーーーー!!」
盛大な勘違いをしたままアルバム室から逃げ出したトーヤを、桐夏は止めることができなかった・・・。
「なんだそういうことだったのか~。驚かさないでよ久藤さん」
「佐倉君が勘違いしたのがいけないんだろう!」
「どうどう!先輩、落ち着いて!」
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