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件の美少女が、そこにいた。
啓太の話と食い違うとすれば、髪を下ろしてストレートにしているところか。
「可愛さ」を孕むポニーテールの時よりもストレートの方がより「美しさ」が強調されている。
それに間近で見るのと近くで見るのではやはりインパクトが違う。
啓太は標本にされた昆虫のようにそこに射止められていた。
「なんでそこの子は銅像になってるんだい?」
「坊やだからさ」
「?」
「お」
トーヤがぽんっ、と手を叩く。
「いい機会だ。ちょっとそこのコンビニまで飲み物を買ってくるよ」
「まってくれ佐倉君。何がいい機会なんだい?」
「こっちの話さ。二人でくつろいでなよ。それじゃ!」
それじゃの「じ」を言う頃には、既にアルバム室にトーヤはいなかった。
「まったく・・・神出鬼没の代名詞みたいな奴だな、佐倉君は」
はぁ、と溜息をつき
まだ銅像の啓太に向き直った。
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