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「突然邪魔して済まないな。私は3-Aの久藤だ。君は?」
「・・・これが夢ならさめてくれ・・・心臓に悪い・・・」
「さっきから何をぶつぶつ呟いているんだい・・・?」
「ほう、2-Cの水野君か。(聞き取りづらかった・・・)」
「はひ!その通りでぢゅっ・・・いでぇ!」
「舌を噛むにしたって限度があるだろう!?血が!血がでてる!」
「落ち着きました・・・」
「そ、そうか・・・」
トーヤが出ていってから既に15分が経過していた。
「久藤先輩ってなんだか・・・かなり話し方が男っぽいですよね」
「やはり気になるか?実は昔、私は極度のお父さんっ子でな・・・中学を卒業するまで口調の真似をしていたものだから、治らなくなってしまって・・・」
桐夏は苦笑いを浮かべながら弁明した。
「(男口調の超絶美人だと・・・?)」
「最高だァーー!」
「な、何が!?」
「いや、何でもないです。」
「君は変わってるな・・・」
だんだん啓太の変人っぷりに慣れてきたのか、クスクスと口に手をあて笑う余裕が桐夏に出てきた。
少し経つとまた無くなるのだが。
「君はよくここに来るのかい?私は最近来るようになったのだが、会うのは初めてだね」
「用事があったら来るって感じですから。先輩はなぜここに?」
「うーん・・・あえて言うなら、家に帰りたくないって言ったところかな」
あまり突っ込んでほしくない、と暗に言いつつ、桐夏は立ち上がってアルバムの入った書棚の前を行ったり来たりしはじめた。
「実は水野君のことは、全く知らないというわけでもないんだよ」
「え!?」
啓太が目を見開いて驚く。その表情は心なしか嬉しそうだった。
「今2-Aの日暮雪音のことは知っているだろう?」
「!?」
「実はあの子と私は同じ部活で・・・ってどうした!?」
「ナンデ・・・ヨリニヨッテ・・・アァ、サヨナラボクノコイ・・・」
桐夏の前には、水から上げられ放置された鮎のごとく瀕死で横たわっている啓太が・・・。
「おい!?しっかりしろ!救急車か!?救急車呼ばなきゃいけないのか?!」
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