71人が本棚に入れています
本棚に追加
誰しも忘れられない大切だった人、好きだった人、尊敬した人、必ずいると思う。
俺にとってはこの患者さんはその中の一人だった。
患者さんの名前は小森さん(仮)60歳男性、胃がんで手術目的で入院されていた方だった。
小森さんは俺が入社する前から入院しており、新人の俺に
『注射の練習台になってやるよ。』
と、笑顔で声をかけてくれるとても笑顔が優しい患者さんだった。
『いや~島ちゃん今日は暇みたいやんね?テレビでも見てゆっくりしていかんね~?』
毎日笑顔で声をかけてくれて、たまにお菓子をくれたりする小森さんが好きで、時間が空いた時は小森さんの部屋にちょくちょく顔を出していた。
俺が仕事をなかなか覚えられず、辛くて仕事を辞めたいって相談した事もあった。(今思うと患者さんに言う事じゃないけどねww)
その時の小森さんの言葉…
『怒られるってのは成長してほしいっていう気持ちのあらわれ。何事も言われるうちが花なんだよ。みんな期待してるんだよ。それに俺が元気なのは島ちゃんのおかげでもあるんだし!もっと自信を持って!』
『それにね、島ちゃんだけじゃない。みんな苦しい思いを経験して努力してきたんだよ。そりゃ努力して絶対成功するっては言えないけど、成功してきた人は皆努力してきたんだよ。だから島ちゃんも頑張んな!島ちゃんなら出来るよ!』
あの時の言葉に俺は励まされて乗り越えて来れたんだと思う。
なんかおじいちゃんが二人いるみたいだったね。
最初のコメントを投稿しよう!