忘れられない人

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『あいたたた!痛いよもお~。』 苦しい表情でベッドに移される小森さん。 自転車に乗っている時に乗用車に横から追突され全身を強打したとのことだった。 『ホント災難だったよ~。でも島ちゃんまたよろしくね。』 腰が痛いのに俺には笑顔で接してくれる。 あの優しい笑顔は相変わらずだったが、顔色がやや茶色がかって土色っぽくなっていることに気づいた。 採血データを見ると前回の退院時から比べて肝機能がかなり悪くなっており、思っていた以上にがんの進行は早く、確実に小森さんの体を蝕んでいた。 その治療には今まで以上に強力な抗がん剤が投与された。もちろん本人は抗がん剤ということは知らない。 しかし抗がん剤の副作用は強く、全身の倦怠感から吐き気、目眩、脱毛など様々な症状が現れてくる。 そして次第に小森さんの顔から笑顔が消えていった…
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