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次の日病院に来ると1番に小森さんの部屋を開けた。
そこには片付いた床頭台とベッドがあった。
やっぱり亡くなったんだ…。
小森さんはその日の深夜、沢山の家族や親戚の人達に看取られ、安らかに息をひきとった。
小森さんはこの病院で精一杯癌と闘って生きてきた。小森さんと出会って俺は一言も彼の弱音を聞いたことがない。
本当はとても苦しかっのだろう。
とても痛かっただろう。
とても不安だっただろう。
まだ死にたくないと叫びたかっただろう。
結局、癌の事は何も知らされないまま、小森さんは亡くなった。
やり残した事があったと後悔していないだろうか…。
幸せな人生だったと思えたのだろうか…。
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