水玉メランコリー[古キョン]

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   窓を伝う滴はだんだんと粒を大きくし  ているらしい。窓の外を見ようとして  も見えないからだ。  「…止まないな」  「ここの所は雨量が極端に増えていま  すからね、暫くは止まないでしょう」  その言葉を聞いたキョンはつまらなそ  うにストローを口に含む。残り少ない  アイスティーに入った氷がカランと音  を立てた。  梅雨というものを回避することはハル  ヒという神(機関曰く)にも不可能なよ  うだ。  此処数日の間雨が降り続いているせい  で、団長の機嫌もまるで今にも弾けそ  うな水風船のように悪い方に膨らんで  ばかりいた。  まぁそれは団長だけに限った話ではな  く、キョンもそれなりにイライラはし  ているがハルヒよりはマシだろう。  いや、でも。朝比奈さんはハルヒの様  子にあわあわし、長門は相変わらず液  体ヘリウムのような揺らがない瞳で分  厚いハードカバーを熟読していたので  いつも通りだろうか。  「…全知全能を絵に描いたような奴が  雨も止められんとはな」  「まぁまぁ、涼宮さんは涼宮さんなり  に葛藤しているのですよ」  
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