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「あいつが葛藤なんて言葉を知ってる
かも怪しいのにか」
古泉は困ったように笑いながら肩を竦
める。さながら何か秘密がバレたよう
な顔だ。
「涼宮さんは日本に梅雨が来なければ
困るとちゃんと理解しているんですよ
。そんなに降って欲しくはない、けれ
ど降らなくては困る。そういう感情同
士がせめぎあっているのです」
「…常識的なものも少なからず存在す
るんだな、いつもそうなら良いのに」
またつまらないと呟いたキョンは本当
につまらなそうに頬杖を付く。その様
子が可笑しかったのか、隣で見ていた
古泉が笑みを作った。
「梅雨の時期はつまらないと相場が決
まっているものですよ」
「はぁ…お前はつまらなくないのか?
」
「えぇ。貴方が目の前に居ますから」
「っ、ごほ…っ」
当然のように発せられた突然の一言に
アイスティーが喉を逆流する。胸元を
押さえ咳き込む背中をさすってやった
。涙目のキョンがゆっくりと古泉を見
上げる。
「お前、何を…」
「本心ですよ?」
「…恥ずかしい奴だな」
「貴方は違うんですか?」
「…っ」
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