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『ま、まだですよ。まだ下ろしちゃ嫌ですからね。』
『はいはい分かってますよ。』
硬直してしまった四季映姫に、どうしたものかと普段あまり使わない頭をフル使用した結果、足が下につかないような体勢。つまり、お姫さま抱っこをしてみた小町だったが。
(かっ…!可愛いっ…!なにこの可愛い生物!?)
自分の腕にスッポリ収まる華奢な体躯に、小さな顔は恥ずかしさからか少し紅く染まり、お姫さま抱っこというその体勢から自然と発生する上目遣い。
シャンプーだろうか、なにやら仄かに良い香りがする。
(こ、これはやばい…え?なにこれ?据え膳?据え膳なんですか?四季様!)
『…小町?どうかしましたか?』
小町の葛藤を知ってか知らずか小首を傾げて見上げてくる四季映姫に、小町はハッと我にかえると
『な、なんでもありません!それより四季様!二分経ったし、もう大丈夫じゃないですか!?ね!』
あわてて取り繕う。
そんな小町を不思議そうに見ながらも四季映姫はそれ以上追及する事はなく、恐る恐る小町から降りる。
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