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平凡な日常の裏で…
北海道の9月、本来ならまだ暑さが残る月であるが、今年は既に寒くなりつつある、夏も決して暖かい年とは言えない冷夏であったが…。
そんな涼しいくも寒さを感じるような日々である
……………………………
バシッ!
頬を叩かれる音が狭い学校のトイレの中で響く、打たれた頬はビリビリとした痛みが残る。
『あんたさぁ、ちゃんと金をもってきてくれないと、あたしら困るんだけど?』
目の前には過度に染め上げた金髪の女と、取り巻きの女が二人で私を逃がすまいと、取り囲んでいる。
『あたしらがデートするのに必要な金は、あんたが用意する約束だろ?』
『………………』
『おい!聞いてんの!?てめえが金を渡さねえから、金がなくてデートができなかったんだぞ?』
左右に立つ取り巻きの二人も、私に向かって怒鳴っている。
『あたしら友達じゃん?なら、約束は守ってくれないと?…なあ?』
…友達?…そんなの友達って言うの?そんな訳ない。
『……………』
『なにコイツ、さっきから黙り込んでさ』
『あんた返事も出来ないの?あたしらを舐めてない?』
『………お金なんて無い』
『あ?なんだって?』
『…お金は無いの』
『だったら親の財布から、少しでも金を取ってこいよ』
『出来ないよ、そんな事…』
少し逆らった言葉を言った瞬間、再び頬を叩かれた。
『ざけんなよテメぇ!』
『友達が困ってんのに助けてくれないんだ?あ~あ、悲しいね~』
『薄情な友達には、お仕置きが必要だよね』
三人はそう言うと私を殴りつけ、床に倒れた所を何度も何度も蹴り付けてくる、痛い!痛い!苦しい!
………………………………………………………
『明日はちゃんと金をもってこいよ、でないとあたしら、我慢も限界だからさ』
トイレの床で横たわる私に唾を吐きつけた後、三人はぞろぞろとトイレから出ていった。
しばらくして動けるようになった私は、洗面台に近寄って顔を洗う、連中に叩かれた頬が赤くなっている、殆どは胴体を蹴られたので見かけでは分からないが、体中に痣が出来てるだろう。
私は悔しさと痛みに涙が出る、あんな連中…死んでしまえばいい!いっそ殺してやりたいとすら思う、でも、そんな事を私が出来る筈がない…乱れた制服をなるべく整えてから、私は軋むドアを開いて、そっとトイレから出た。
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