霧島さんの魔術修行

10/10
前へ
/119ページ
次へ
『そうだな、反応したんだから「浸透」によって霊的効果が付加されたのは間違いない、魔術は成功だろうね』 『だよね!だよね!』 『ただ…』 『……ただ?』 『悪霊に通用する程の力があるかは分からん』 『ううっ∑;』 褒めたり落としたり、霧島さんには悪いのだが、魔術に成功したからと言って下手に調子付いてもらっては困る、と言うか「悪霊への対抗手段」として「使える」と認識してしまったら、何か怪異が起きた時に自らの力量も考えず「何とかなる」と判断する可能が高くなるだろう、それが命取りになって死んだら洒落にならない。 『とにかく、まだまだ安心は出来ないから、現状に満足はしないように』 偉そうな事を言ってるけど、俺も単なる素人魔術使いにすぎない、それを弁えないと簡単に致命的な事になる。 『とりあえず成功した事には違いないんだから、かなりやる気が出ました、頑張りますよ』 『今よりやる気をだしてって…魔術漬けになるつもり?』 『それもまた人生ですから』 意味不明に「ふっ」とか言いながら澄まし顔を作る。 『何を言ってんだか…;』 …こうして今日の霧島さんの魔術修行は終わった。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加