次の日…

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『やはり拒絶するだろうな…』 一度でも相手の命を奪い去れば、その呪具に恐れを抱くだろう、普通なら二度と使おうとは考えない。 『まあ…ここで俺があれこれ考えても、どうにもならないか』 一旦は女子生徒の事について考えるのを止める、例え救う手段となりえるものであろうと、物が『呪具』なのだ、一時の同情で貸し与えるには危険すぎる代物である、俺はある程度は冷酷になれても、冷静さに欠けてる節がある、ここは落ち着くべきだろう。 そう自分に言い聞かせる… コンコン☆ そんな時、毎度同じく俺の部屋の窓が叩かれた。 『木村君、こんばんは』 ニコニコしながら窓から顔を見せる霧島さん。 (彼女には、虐められた経験はなさそうだな…) 機嫌が良さそうに笑顔を振りまく彼女を見て、内心でそんな事を呟く。 『さて、今日もまた魔術のご指導をお願いします』 そう言ってペコリとお辞儀しているが、段差がある窓の外に立っているので、頭を下げると視界から完全に見えなくなる。 『分かったよ、ちなみに窓の外で頭を下げたら、姿が全く見えないよ』 窓の下からピョコと顔を出す霧島さん。 『そ…そう言われたら、段差があって見えないね;』 そこに気が付かないとは…面白い人だな。
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