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俺は走っていた。
目指す場所は、我が家にて待つ父親だ。
念願叶って、あのストレートが決め手となり、優勝した。最優秀選手は高也が手に入れたが、トロフィーを抱えて俺は急いで帰っていた。
重い野球道具をガチャガチャ言わせながら走る。何がなんでも俺は家に着かなくてはならない。
そんな時、目の前に、見たことのある……ような気がする女性が歩いていた。神秘的な魅力に、走りながら視線はそこに向いていた。
『………あ、いっけね! 急がなきゃ!』
言って、ペースを早くする。やがて、その女性の横を……切る。
『………見つけた…』
何か呟いた気がしたが……それどころではなかったため、無視した。
構わず家の敷地に入り、扉を開け放つ。腐ったような臭いが鼻をついたが……すぐに忘れた。
父さんの書庫……部屋の前に立つ。ドキドキしている気持ちを抑え、一気に開け放した。
『父さん! 優勝し……』
そこには、父さんがいた。
血を吐いて…………腐って…………倒れて。
『…………………あ……あぁ………………』
『うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
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