仮面の本音

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「なあ、どこいくのー?」 「私がどこへ行こうと君には 関係ない」 歩みを早める。 「えー、熱い夜を過ごした仲 じゃない」 奴はまだついてくる。 甘えたような粘っこい声。 鬱陶しい。 昨夜は仮面だったのか。 「そういう言い方はやめてくれ。 昨夜旅館を抜け出して 散歩をしていたらなぜか お前に会い、そしてなぜか 好きな本の話を一晩中 語っただけだろう。 そしてむしろ寒い夜だった。」 「そうだねぇ、秋の夜はさすがに 寒かったなあ」 「そして、周りが期待するような ことは一切していない」 くるりと振り向き、奴の へらっと笑う顔を見据える 昨夜は気の合う奴だと思ったのに 「そして、今後もそういうことは 断じてありえない。 私に関わるな。では」 そう言い切り、また前へ歩き出す。 捨て台詞を残す。 「早く班に戻って君の彼女の誤解を解 んあ!!?」 無理矢理後ろに腕がひかれる。 気がつくと、私は奴の腕の中に 収まっていた。 引っ張られた腕が熱い。 「俺はれいと関わりたいんだけど」
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