日常の中の非日常

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雪が積もっている街、冬を迎えたばかりの景色。 そこは街中の小さな市立中学校、その中の三年生の教室に学校の終わりを告げるチャイムが鳴り響いていた。 ざわめく教室の中、バキッ、っと言う破壊音が響いた。 その音の発生源は嫌でも目立つ緑髪の少年の手からだった。 机に顔を伏せた少年の手には握り潰されたペンケースがあった。 もぞもぞと寝返りをうったかと思うと、体を起こして大きく伸びをする。 中学生には見えない幼い顔、小さな体はとても片手でペンケースを潰せる子供には見えない。 緑の髪は中途半端に癖があり、やはり体は少しばかりの筋肉しか見受けられない。 少年は大きく欠伸をすると頭を掻きながら手の中の潰れたペンケースを見た。 「……またやっちまったか」 どうも日常茶飯事な様で、寝惚けた目で特に気にせずペンケースを鞄に突っ込んだ。 そんな彼に近付く人がいた。 「拓也、何ため息ついてんだ?」 少年、拓也は声の聞こえた方を向いた。 「……なんだ、刀牙か」 「なんだとは御挨拶だな」 刀牙は手を拓也の机に起き、冷めた様な目で拓也を見る。 「……あれ、ガッコ終わったの?」 「……チャイムで気付けよ」 「ん……まあ寝てたからな」 寝るなよ、と刀牙は小さな声で言った。 「ダイジョブだって。受験は全然問題ないからさ」 「俺が言いたいのはそう言う事じゃないんだけどな」 「それより!! お前この俺を見下ろすんじゃなーい!!」 拓也は刀牙を指差し、怒りを露にする。刀牙は中学生の平均身長を軽く超え、もうすぐ180に届くらしい。 が、拓也の身長は逆に大きく下回っている。まだまだ足りない149だった。 中生学にしては高めな身長の刀牙。そして小さい拓也。二人は地元では文字通り凸凹コンビと呼ばれ、恐れられている。恐れられている理由は別にあるのだが…… 「じゃ、頑張って大きくなれ」 「なれるなら苦労もしねえ!!」 「うるさくしたら先公に怒られんぞ?」 刀牙が苦笑いをした。 「いやいや、学級委員の方が怖いだろ……あいつ人の頭バシバシ叩くからな」 拓也は渋い顔になって頭を抑えた。その学級委員は今教室にいないらしい。
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