日常の中の非日常

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「あーーッ!! 刺激が欲しいーーッ!!」 突如大きな声を出した拓也に教室で受験勉強をしていた生徒は驚いて顔を上げた。 「いきなり何を? 俺は今以上に刺激は欲しくないね!!」 刀牙が腕を組みながらふんっ、と鼻を鳴らす。 別に、拓也は平和が嫌いな訳ではない。むしろ平凡な毎日が一番普通だ。 中学三年生にもなった拓也はそれくらい理解している。だが、今こんな時期だからこそ、何か変化が欲しかった。 ともかくここで叫んでも何も変わらないと拓也は教科書等は机に入れた。どうやら置き勉派らしい。 「さーて!! 帰る……」 「うるさい!!」 立ち上がろうとした拓也の頭に衝撃と痛みが走った。余りの痛みに床に転がり悶絶する。 拓也の後ろにはそれで叩いたであろうかなり分厚い教科書を持ち、腰に手を当てた少女がいた。 目は若干吊り上がり、印象だけで言うなら少し厳しそうなその少女は世間一般で言う美少女であった。ただ血筋に日本人以外が入っているのかその髪は少し金っぽい。 「あんた達!! ここはあんた達だけの場所じゃないの!! うるさくするだけなら家に帰りなさい!!」 「お、おまへ!! それで殴ったのか!? その厚厚物で殴ったのか!? 身長縮んだらどうすんだ!! それでも学級委員かバカァ!!」 痛みが引いたが怒りが引かない拓也は少女を真っ向から睨み付ける。 少女は特に気にした様子もなく鼻を鳴らした。拓也にしたらその少女と目線の高さが同じだったのがまるで古傷を抉られる思いだったりする。 「ほらほら、学級委員。俺らもう帰るからさ。今日は勘弁してくれ」 拓也の頭をわしづかみにし、刀牙は拓也の頭を縦に倒した。 「私は学級委員なんて名前じゃない!! 星南グループの長女! 星南奈那よ!!」 少女、奈那は自慢気にささやかな胸を張った。
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