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お線香を立てると、次に簡単に手を合わせる。
しかし、今度は目は瞑らずに、視線は目の前の果物に注がれる。
そのおいしそうな、桃を見ると、口の中に唾液が広がる。
甘いあの汁を想像するだけで、我慢できなくなる。
祐子はさっと立ち上がると、勢いよく台所へと走った。
『あ、祐子!!』
ばばの声が背中から追いかけてくる。
『祐子お』
今度は足音とともに夏美が来たようだ。
すぐに台所まで来ると、祐子は目標物を発見して、鷲づかみした。桃だ。
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