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その言葉を発したのは、二人のうちのどちらでもなかった。 夏美と祐子が振り返ると、台所の入り口に、ばばが立っていた。 『ばあちゃん?』 久しぶりに孫が会いに来たというのに。 普通ならば、どれほどいようとも構わないと思うのではないか。 それも、新たな一歩を踏み出そうとしているときだ。 応援して、その前にゆっくりしなさい、と言われると思っていた。 『なんで?』 宿泊を拒否されたという心の動揺を隠して、平静を装いながら祐子は聞いた。 いい方が冷たくなってしまうのは仕方がないだろう。
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