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『ばーちゃん・・・まだそんなことを言ってるのお?大丈夫だよ、祐子。あんたも知ってるでしょ。今年は、五十の年なんだって。』
夏美が納得した顔で頷きながら言ったが、祐子にはどうも心当たりがない。
首を少しだけ傾げると、夏美は一気に目を開いた。
同時に、祐子の背後にあったばばの気配が消えていく。
『忘れちゃった?蜘蛛の神だよ。今年はそれもあって人が集まるみたい。』
そう言われて、やっと裕子も思い出した。
簡単に忘れてしまうほど、遠い存在だったその言い伝えのことを。
『あの、心臓を食べるっていう?』
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