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思わず、祐子は笑いそうになってしまった。 確かに、蜘蛛にまつわる言い伝えがあることはしっている。 それに、その蜘蛛の神と呼ばれる存在のために、五十年に一度復活祭なるものが開かれることも聞いたことがある。 まさか、それが今年だったとは・・・。 しかも、自分のばばが、その存在を信じるだけでなく、そのために孫を追い返そうとしていることに笑ってしまう。 言い伝えは、悪さをする子供をこらしめるために、怖い話をするのではないのか。 『そうだよ。若い子の心臓を生け贄に捧げるってやつ。ばあちゃん、そんなこと信じているんだね。私も初めて知ったよ』 夏美も、困ったような顔で、祐子に向かって肩を竦めた。
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