蜘蛛ばばあ

現

夏になると、必ずこの家に常備されているサイダーの缶を冷蔵庫から取り出した祐子は、それを持って縁側へと向かった。

仏間の前の廊下を通り、南向きにあるそこは、祐子の一番のお気に入りの場所だ。

廊下は大きな全身窓ガラスが６枚連なっている。

そのため、廊下を通り越して奥の部屋まで太陽の光が良く入る。

その廊下で転がっていると、とても気持ちがいいのだ。

その上、窓が大きいためによく風が入る。

言ってみれば、これこそが、日だまり、と言えるだろう。