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こりゃあ、このまま足止め食っちゃうかなー。ま、いっか、もうすぐでバスも来るだろうし、ちょっとの辛抱だ。
私立高校の制服を来た僕はバス停の中で立ち往生していた。
仕方がない。
赤い傘を閉じて壊れかけたベンチに腰かける。
ひび割れたガラス窓からは風が吹き晒しになっていて、時々僕の鞄を濡らした。
あと、三十分もすればバスが来るだろう。そんな事を考えていると、オレンジシルエットが架った夕日が雲の切れ間からバス停を橙色に照らす。
そんな時に、やけに慌てた感じで此処に向かって走って来る足音が三つ程聞こえた。
「こんないきなり降って来るなんて思わなかったし!」
やって来たのは女子高生の子達だった。その内の一人は見た事がある子だった。どうやら彼女らも僕と同じく雨宿りに来たらしい。
「散々だったんだね」
僕が言葉を投げかけると。
「まじ夕立とか最悪だし!」
と彼女は愚痴吐いて返し、思わず僕はくすくすと笑った。
「何よ? そんなに可笑しいの?」
「いやあ、別に」
僕は笑いながら茶化すように答える。
そんな彼女を彼女の友達がなだめ、当の彼女はふて腐れるようにしてベンチに腰を落としていた。
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