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イジケ鳴海が指差した方向。そこにはちゃんとした遊歩道みたいなものがあった。これなら迷う心配はなさそうだ。
神経図太い俺でも、二日連続で迷子になったら確実に泣く。
それほど、昨日は心細かった。ちょっとだけ嘘。
「宗。最初は僕たちが行こうよ。坂井くんお腹減ってるみたいだからさ、早く帰ってきてご飯食べちゃお?」
「あ~、うん。そうだな。鳴海の腹ぺこ具合なんて心底どうでもいいけど、猫女と会長に先に行かれたら、なにされるか分かんないからな」
チラッと、二人組の方を見てみる。チッと舌打ちしていた。
「せっかく、あんたを驚かせてやろうと思ってたのに。なに余計な考え働かせてんのよ」
「そうじゃそうじゃ。なんじゃお主。ここはレディファーストだろうが。ほれ、ワシらに先を譲るがよい」
なに勝手なこと言ってんだよ。大体さ、
「お前らは自分の事をレディだと思ってんのか? あつかましいにも程があるっていう話……美優、逃げるぞ!!」
「え? なんで? どうしたの?」
「いいから、早くしろ!! 鬼に食われても知らないからな!!」
俺の後ろ。そこには、角を生やした本物の鬼がいた。俺の言葉のどこに、あいつらを異界の者へと変貌させる要素があったのだろうか。
はっ、これが言葉使い(ワードマスター)か!? 恐ろしい能力だぜ。
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