学校に行く時は全力疾走で

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 ボールペンって当たると結構痛いんだね。  当たった場所はノックする場所なんだけど、眉間にヒットしたからか、かなり痛く感じる。  ――とりあえず美優に文句を言いに行くか。  俺は椅子から立ち上がって、一番前の席で何事もなかったかのように、友達と談笑している美優に向かっていく。 「おい美優。お前なにするんだよ」 「え~? なにが~?」 「そんな首を傾げて、分からない振りしたって駄目だからな。俺はお前がボールペンを投げる瞬間を目撃してるんだよ」 「バレちゃあしょうがないね。宗が他の女の子の事を、可愛いとか言ってるからついつい」  なんだこいつは。ついついでボールペンを人に向かって投げるのか。     つーか俺が誰かの事を可愛いとか言っていいじゃん。  高三だもん。まだまだそういう事に興味あるんだし、しょうがないだろ。  まあ、今の反論は美優に言えないけどね。  言ったら、「じゃあ、僕とすればいいじゃん」とか言うに決まってるもん。 「あーあ。俺って物を投げる人嫌いなんだよね」 「えっ? そうなの? ごめんごめん。許してよ~」 「それ相応の誠意ってもんを見せてもらわなきゃゆるせないな」  俺がそう言うと、美優はなにかを考え込む仕草をした後に、俺の手を取って教室から出ていこうとする。 「おい美優。どこに行こうっていうんだよ」  そんな俺の言葉は無視された。
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