23985人が本棚に入れています
本棚に追加
/402ページ
ボールペンって当たると結構痛いんだね。
当たった場所はノックする場所なんだけど、眉間にヒットしたからか、かなり痛く感じる。
――とりあえず美優に文句を言いに行くか。
俺は椅子から立ち上がって、一番前の席で何事もなかったかのように、友達と談笑している美優に向かっていく。
「おい美優。お前なにするんだよ」
「え~? なにが~?」
「そんな首を傾げて、分からない振りしたって駄目だからな。俺はお前がボールペンを投げる瞬間を目撃してるんだよ」
「バレちゃあしょうがないね。宗が他の女の子の事を、可愛いとか言ってるからついつい」
なんだこいつは。ついついでボールペンを人に向かって投げるのか。
つーか俺が誰かの事を可愛いとか言っていいじゃん。
高三だもん。まだまだそういう事に興味あるんだし、しょうがないだろ。
まあ、今の反論は美優に言えないけどね。
言ったら、「じゃあ、僕とすればいいじゃん」とか言うに決まってるもん。
「あーあ。俺って物を投げる人嫌いなんだよね」
「えっ? そうなの? ごめんごめん。許してよ~」
「それ相応の誠意ってもんを見せてもらわなきゃゆるせないな」
俺がそう言うと、美優はなにかを考え込む仕草をした後に、俺の手を取って教室から出ていこうとする。
「おい美優。どこに行こうっていうんだよ」
そんな俺の言葉は無視された。
最初のコメントを投稿しよう!