学校に行く時は全力疾走で

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「泣いてちゃ分かんないぞ。言葉で言ってくれなきゃ」 「うん」  美優は返事をした後、今まで前を向いていた体を、俺の方に向けてきた。 「僕ね、宗が大好きなんだよ。だからさ、嫌いになんてならないでよ~」  顔が熱い。いつもとは違った雰囲気で発せられた告白の言葉は、俺の心をかき乱した。  今俺の顔を鏡で見れば、真っ赤になっているだろう。  それほどまでに顔が熱く感じる。  どうしよう。心臓がバクバクいってきた。  落ち着け、落ち着け。とりあえずは平静を装うんだ。  俺は深呼吸をしてから、美優に答える。 「そそそそそんな事で泣いてたのかよ。おおお俺が嫌いになるはずないだろぉぉ」  あばばばば、深呼吸で心を落ち着かせたはずなのに、どもっちまった。  これは恥ずかしい。 「本当! ありがとう宗!」 「うわ、抱きついてくるな!」 「嫌いじゃないって事は僕のこと好きって事でしょ?」 「違う違う。Likeであってloveではないんだよ」  全くこいつは。いつの間にか泣きやんでやがる。  一時でもドキドキした俺の心を返せ。  一時間目の始まりを知らせるチャイムが、校舎裏に響いてきた。
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