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鳴海が先ほど幽霊になりきるために使っていた懐中電灯を奪い、美優を引き連れて薄暗い遊歩道へと進んでいく。
後ろからは鬼たちの叫び声が聞こえてくるが、それは意識の外に追いやろうか。
懐中電灯を点けて、木々に囲まれている道を照らしてみた。
「うわぁ……」
「恐いよ、宗~」
「そんな泣きそうな声を出されてもな……。俺は気絶しそうなんだが……」
情けねぇ……。 いやだけど、なんだこれ。
この、ホラー映画なんかによく出てきそうな雰囲気のある道は。
とりあえず一歩踏み出してみた。
最近は雨も降っていないのに、少しだけ湿った触感が靴を通して伝わってきた。
「あ、あはははは」
「なんかお化け出そうだよね?」
「こら美優!! そんな事を言ってはいけません!! 今すぐ幽霊様に謝るか俺に謝れぇぇ!!」
「なんで?」
「なんでって、幽霊の糞ったれを侮辱した罪とか俺の神経をすり減らした罰とかに決まってるだろ!」
「……宗の方が、お化けを侮辱しているように聞こえるのは、僕の気のせいなのかな?」
「……いやー、あっはははははは!!」
とりあえず一樹さん化してこの場を凌いでみようとか思いました。
――ガサガサ。
風が吹いてもいないのに、俺達を囲っている木が音を発する。
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