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教室での帰りの挨拶も終わり、俺は教室から出ようとする。
「あっ、宗待ってよ~」
「待ってるから、そんなに走って転ぶなよ……」
「きゃっ!」
「言ってるそばから……。なにをしてるんだお前は」
大体、なんでなにもない場所で転べるのか、それが不思議でたまらないのだが。
立ちあがった美優は恥ずかしそうに俯きながら、ホコリを落としている。
美優の後ろにいる男子がニヤけているのは勘違いなのだろうか。
あっ、俺が見てるのを知った男が、舌打ちしてから中指立ててきやがった。
そこまで妬ましいのか俺が。なんなら変わってもいいのだぞ?
というか変わってくれ。
「お待たせ~。ごめんね。いたっ」
「ん? どうした。ってなんか膝が赤いぞ。擦りむいたのか?」
「うん、そうみたい。でも大丈夫だよ。すぐに治るし」
「駄目だ。そういう小さな傷でも、ほっとくと悪化するものだ。だから、ほら、保健室に行くぞ」
「うん、心配してくれてありがとね。今日の宗は優しいな~」
はぁー、まさか行きたくないと思っていた保健室に、早速行く事になるとは……。
まあ、しょうがないけどね。
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