学校に行く時は全力疾走で

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「ほら、その膝じゃ歩くたびに痛いだろ? だからおぶってやる。早く乗れよ」 「えっ、いいの宗。ありがとう~」  美優は俺に飛びかかる程の勢いで乗っかってきた。  うーん、これは歩かせても平気なのかな?  だってこんな飛びのってくるくらいなんだから、足の怪我も大したことないのかも。  今更、自分の安易な発言で、美優を背中に乗せた事を後悔。  だってこいつ、俺の首に息を吹きかけてくるんだもん。  むずがゆいったらありゃしない。 「いい加減に首に息をかけるの止めてくれ」 「なんで? あっ、もしかして感じてるのかな~。やった、宗の弱点発見~もっとかけちゃえ」 「うわっ、ちょ、やめろって。降ろすぞこの野郎」  あっ、やっとやんだ。それにしても、俺は首が弱かったんだな。  今度からは美優を背中に乗せないようにしなくては。  なにをされるか分かったもんじゃない。  ――それにしても、美優の体重軽いな。背中にいるって感覚があまりない。  体重何キロだろ。気になるけどこれは聞けないな。    聞いたら、『教えてあげてもいいけど、それ相応の代償は払ってもらうよ?』とか言われるに決まってる。  俺は美優をおぶったまま、階段を使って一階に降りる。  その際に、周りからの視線と囁きが果てしなくうざかったが、気にしたら負けだろう。
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