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その後の美優は、変な声も出さずに大人しくしていた。
足を掴んでガーゼで消毒液を拭い去り、その上に絆創膏を貼る。
ふー、我ながら中々手際がいいじゃないか。さてと、保健室の先生が戻ってくる前に帰りますか。
「立てるか?」
「うん、大丈夫。ありがとね宗。僕、嬉しいよ」
「いいってことよ。それよりもさ、早く帰ろうぜ。ここの先生に見つかりたくないからさ」
「うん」
美優はベッドから降りて、俺の横に歩いてきた。満面の笑みを浮かべている。
不覚にもドキッとしました。いつもと雰囲気が違うんだもんよ。
笑顔の質が違う。
今までのはなにか悪だくみしてそうな笑顔だったのが、今はそんな事は微塵も感じさせない純粋な笑顔……だと思う。
いかんいかん。平静を装え。この動揺を美優に感づかれたらなにを言われるか。
俺達は保健室から出て、家に帰って行った。
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