睡魔が襲ってくる頃に

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 とりあえず美優を和室から追い出し、襖を閉める。  さらに襖と壁との間につっかえ棒を入れ、外からは開けられないようにした。  だが、これでも心配だ。あいつは目的のためなら結構無茶する奴だからな。  なにが来ても、すぐに対応できるようにしなくては。  そんな俺の懸念も無駄に終わり、制服から私服……といってもジャージなのだが、とりあえず着替える事に成功。  美優がこんなに大人しくしてるなんて、なにか起こったのか? いや、なにかが起こる前兆なのか。  どちらにしても、この襖を開ければ、なにが起こっているのか分かるだろう。  つっかえ棒を外し、襖を少しだけ開く。目の前に見える範囲には美優の姿はない。  さらに開けてみるが、見えるのは廊下と、それを挟んだ向こう側にある洋室へと繋がる扉だけ。  俺は和室から出て、洋室の扉を開ける。  ここに美優はいた。テレビの前にあるソファに腰を下ろし、俯いている。  泣いてるのか? 一瞬、そんな思いが頭をよぎったが、すぐにそれは否定される。 「すーすー……」  美優の規則正しい寝息が俺の耳に届いた。  これが意味するものは、寝ている。考えなくても分かるけど。 このまま寝かせてたら風邪ひくよな。四月になったとはいえ、まだ寒い日がある。  それに俺の家には、暖房器具はコタツしかない。ストーブなんて買う金がないぜ。
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