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目をうっすらと開けて、俺を見てくる美優。
ここはどうしようか。なんて言い訳すれば事無きを得るのか。『いや、蚊がほっぺについてたからさ』これで行くか?
いや、待て。まだ四月だ。蚊は出現していないはず。ならどうする。どうするんだ俺!!
俺が一人悩んでると、美優は俺の人差し指を軽く握り、それを見つめる。
「この指で僕になにをしようとしてたの~?」
笑っている。笑っているのだが、邪な感情を含んでいるかのような邪悪な笑みだ。
ここで素直に、『ほっぺ柔らかそうだから突っついてた、テヘッ』とか言ってみろ。美優は『お返しだー』とか言って俺に襲いかかってくるだろう。
それだけは免れたい。なんとか良い策を……誰か俺の脳に力をくれ。
するとピカーンとかいう擬音が鳴って、豆電球が頭の上にでたような気がした。
閃いた。これならなんとかなるかもしれない!
「いやー悪いな。布団をかける時についつい手が滑っちまって、てへっ」
舌を軽く出すと同時に、頭をコツンと殴る。我ながらキモイと思った。
寝起きの美優には、これぐらいでも十分通じるだろう。
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