睡魔が襲ってくる頃に

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「じゃあ、人生絶望ゲームをしよう!」 「いや」  へ? 今なんと……人がせっかく二人で遊べるものを提案したというのに、我がままというのか、なんというのか。 「じゃあ、なにがしたいんだよ」 「うーん、宗の部屋探索とか?」 「それなら、勝手にやってるだろ、お前」 「むぅー」  美優は顎に手をつけてなにやら考え込んでいる。  それから何分経っただろうか。美優は俯いたまま身動き一つしない。もしかして……と顔を覗いてみると、やはり寝ていた。  まあ、さっきは俺が途中で起こしちまったからな。  できればこのまま安眠させてあげたいのだが、いかんせん、時間が時間だ。  時刻は午後五時になろうとしている。外は暗い。暖かくなってきたからと言っても、昼の時間がまだ圧倒的に短いのが春。  それになんだか肌寒くなってきた。夜になると、気温が一気に下がるというのも、春の特徴。  そして、頭のおかしい人が現れるのも春だ。  こんな真っ暗な時間帯に、美優を一人帰らせる訳にはいかない。  かといって、泊まらせるわけにもいかないだろう。美優だってお年頃だ。両親が黙っているわけがない。  さーて、どうしたもんか。とりあえず、腹減ったし飯でも食うかな。  美優の事は二の次で。
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