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頭がおかしくなる前に、俺は両手に持っていたフライパンを後ろに放り投げる。
すると、後ろでなにかが砕けた音がした。
嫌な予感しかいないのだが、恐る恐る振り返ると、そこには粉々に砕け散ったガラスのコップがあった。
忘れてた、後ろには机があったんだ。そこで水を飲んで置きっぱなしにしてたコップが昨日からあったじゃないか。
カッコつけたのが間違いだった。不幸中の幸いは、その奥にあるテレビには傷一つついていない事か。
つーか、美優のやつはこれでも起きないか。
秘技を食らった後に、今のやかましい音を聞いたはずなのに、美優は微動だにしない。
こいつの耳はなんのためにあるんだよ。あれか? 飾りか? 馬鹿なの? そしてコップは誰が片づけるの?
コップの事は後回しにして先に美優を起こそうと、そんな考えが浮かんだ。
俺はそんな考えに背く事無く、一歩美優に近づく。
「あいだっ!!」
ガラスの破片を踏み、俺の右足に痛みが走る。と、同時に体勢が一気に崩れ、美優の方へと倒れる。
倒れゆく中、俺の頭はフル回転していた。
これはどこぞのラブコメ小説でよくあるパターンだ。倒れて、その先にいる人の唇を奪っちまったぜ、テヘッて感じの。
だがしかし!! 俺はそんなへまはしない!
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