睡魔が襲ってくる頃に

13/21

23985人が本棚に入れています
本棚に追加
/402ページ
「むぅ~、僕はあのままが良かったのに」 「まだそんな事言ってるのかよ。ほら、送ってあげるから美優の家に行くぞ」 「そしてそこで愛の営みを……」 「誰がするか!!」  その後もぐちぐち言い続ける美優を半ば強引に引きずり、俺達はアパートの外に出た。  外は凄く寒い。出てくる時に冬用のジャンパー着てきて本当に良かった。  でも、俺の横は美優が寒そうに手を擦り合わせたり、何度も息を吐きかけている。  そんな姿を見てしまったら、俺が着ているジャンパーを美優に渡すしかないだろう。  いや、でもな。これ渡したら、俺ジャージになっちまうんだよ。シャージといったらさ、風がよく通るじゃん。  そして今は結構風が吹いてるわけ。今の状況でも寒いのに、美優に渡したら、俺は凍え死ぬぞ。 「くしゅん」 「………………はぁー、ほら、これでも着てろよ美優。そのミニスカートじゃ寒いだろ?」 「本当!? わ~い、ありがとね宗。お礼にキスしてあげる~」 「やめい!」  さっきの一件があってから、美優がまたもや積極的になってしまった。あれは俺に悪い個所はないはずだ。  あっ、体勢崩すきっかけになったコップの破片。あれ割ったの俺か。
/402ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23985人が本棚に入れています
本棚に追加