睡魔が襲ってくる頃に

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 美優の家は俺のボロアパートから歩いて十分ほど先にある。  美優の家から行くと、ちょうど学校へと行く道のりに俺のアパートがあるもんだから、美優は毎朝迎えにきている。  と、まあ。美優の家に着いたのだが、いつ来てもでかい家だ。  なんかもう、サッカーグラウンドが三つくらい軽く入るんじゃねぇの? 的な程に広い。  庭だけでもグラウンド一つ分くらいあると思う。  そして家が問題だ。なんか、どっかの借金執事が住み込みで働いている家みたいにでかい。  三階建てに、大雑把に数えただけで軽く五十は超えるだろう窓の数。  かなりでかい玄関には、指紋認証システムやら、声紋認識などがいくつもある。  ここまで防犯システムをつけなければ、いつ泥棒が入るかわからないのだろう。  本当に世界は理不尽だ。なんでこんな豪邸に住める人はいるのに、俺はボロアパートなんだよ。  世界の理不尽さを感じるのはここまでだ。  さっさと美優を家っつーか、城の中に入れて、俺は帰って寝たい。 「ほら、早く家に入れよ」 「いやだ~。僕は宗と一緒がいい」  駄々をこねる美優の襟を鷲掴みにして、門にあるインターフォンを押す。 「はい、どちらさまで?」 「あっ、新藤宗太です。美優……さんをお届けにまいりました」 「宗太さん? 久振りですね。少々お待ち下さい。今、お迎えに上がりますので」
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