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「ほ、本当だ。早く行かなきゃ」
美優は俺の上から降りて、
スカートについた埃を払う。
チャンス!! 油断してる今なら、素早く美優の横を通りぬけれる……気がする。
ああ、もう、弱気になってどうする。今日こそは平穏に登校するんだろ!
気合いを入れろ俺。大丈夫大丈夫。俺はできる子だから大丈夫。
よし、行きますか。
「隙あり!」
「えっ、好き?」
なんか変な言葉が聞こえたがとりあえず無視だ。
俺は開きっぱなしになっていた玄関から飛び出す。
だけど、玄関から少し走った所で、後ろからもの凄い衝撃が俺を襲う。
「いだだだだだだだ」
「僕も好きだよ宗~」
馬鹿野郎。俺がいつ好きだなんて言った。
しかもお前が後ろから抱きついてきたせいで、砂利道の地面に顔からダイブしちまったじゃないか。
口の中に砂は入るし、なんか顔中ヒリヒリする。鏡で見たら擦り傷で一杯になってるんだろうな。
「あーあ。もう学校行きたくね」
こんな顔で学校に行きたくない。
「本当? だったら僕と良い事しようよ」
「よーし! なんかやる気がみなぎってきたよ!! 今の俺は誰にも止められない」
俺は美優を無視して、全力疾走で学校に向かった。
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