睡魔が襲ってくる頃に

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 月明かりが窓から差し込んできているため、真っ暗とはいわないまでも暗い和室。  そこには、時計の時を刻む音と、俺の息づかいだけが響く。  蛍光塗料が塗られた時計の針は深夜十二時を示していた。  俺の脳の思考回路が段々と低下していく。つまりは眠くなってきた。  あともうちょっとで寝られる、という所で、玄関から誰かが入ってくるような音が聞こえた。そう、パタンと扉が閉まったあの音だ。  余談だが、このアパートは古いため日常的にラップ音が鳴る。それは酷い時には朝夜関係なくずっと鳴っている。  朝に鳴る分には一向に構わない。だけど……夜に鳴るのは勘弁してほしい。  幽霊なんて非科学的なものを信じてるわけじゃないが、こんな暗い部屋で一人で寝ていると、敏感になるもんだ。  だがしかし、今回はラップ音じゃない。それよりもレベルが高いポルターガイスト現象だ。  だって鍵を閉めたはずの玄関が勝手に開くんだよ!!  こんな事を考えてる間に、玄関から俺の寝ている和室まで移動してきている足音が聞こえてきた。  やべー、恐い。恐いよ。もういいよ、いや、ホントにもういいからさ、現れるんならさっさと現れろよ。  恐くて失神しそうなのに、逆に失神できないという異常な状態から速く解放してくれ!!
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