睡魔が襲ってくる頃に

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 足音が近づいてくる。古い床を踏むと出てくるあのギシ……ギシという音が段々大きくなってきた。  なにこれ。初めての体験なんですけど。なんで俺がこんな心霊現象体験しなくてはいけない。  だいたい、幽霊なんているはずがないんだ!! そうだ、そうだよ。なんで俺は今までこんなに怖がってのか、それが不思議でならない。  今聞こえているのも、幻聴だ。明日病院に行かなくては。  と、とりあえず……押し入れで寝ようかな、うん。いや、怖い訳じゃないよ。   ただ単に、なんかこの布団寝づらいというか、いきなりネコ型ロボットの心情になってみたいとか思っただけなんだ。  決して怖い訳じゃない!  俺は掛け布団を持ち、押し入れの襖を開ける。  と、同時にあの青いハリネズミもびっくりなくらいの勢いで回転しながら、その中に入った。  廊下から和室へと繋がる襖が、ゆっくりと開く。  まだ暗くてよく見えないが、背は小さいな。女の子のお化け……いやいや! お化けなんていない。    そうだ、きっと寝ぼけて隣の家の子が入ってきただけなんだ。  そうに違いない。――あれ? なんか足元が透けてるような、その奥にある扉がはっきりと見えてる気がする。  あっれー? なにこれ。やだこれ、おかしいよこれ、なんなの? 幽霊なの? 馬鹿なの? 俺が失禁してもいいの?
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