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夢の世界から帰ってきた俺は、自分の位置を確認してみる。
下半身は押入れの中に突っ込み、上半身は外。うつ伏せになっていて両手を万歳!! とでもいうかのように上げている。
なんか無性に恥ずかしくなったので、押入れから出て、今度は周りを確認。
窓から暖かな陽光が差し込んできていて、かなり眩しい。
そんな朝の雰囲気には似合わない異様な環境があった。
本棚には無数の黒い手形。天井には赤い手形。床にはゴリラみたいな手形。どこを見ても手形手形手形。
ここまで異常だと、逆になんも感じないという奇妙な体験をしていると、無人であるはずの俺の布団が膨らんでいる事に気付いた。
それに近づいて上から覗いてみると、美優だ。
すやすやという擬音が聞こえてきそうなほど、気持ちよさそうに寝ている。
昨日の夜、最後に入ってきたのは美優だったのか。家政婦さんが家にいるくせに、なんでわざわざ俺の家に来るんだよ。
つーか、鍵は? あれか? 幽霊が開けっぱなしにしていきやがったのか? だとしたら迷惑な幽霊だ。
今度会ったら、一言文句言わないと気がすまない。
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