イジメ……カッコ悪い。やっちゃ駄目だよ!!

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 自分の教室に入ると、クラス全員の視線が俺に集まる。  この中に幼稚な事をしている犯人がいるのかと思うと、とても憂鬱だ。  犯人はクラス外の人間だという可能性も無いわけではないけどね。  でも、クラス内の人しか俺の下駄箱の番号は知らないだろうし……いや、番号なんてその気になれば誰でも調べられるか。  クラスの人たちは俺から視線を外し、またそれぞれのグループで会話を始めた。  俺が一歩踏み出すと、スリッパのペタッという音が教室中に響いた。  その音を聞いた何人かが俺の足もとを見る。  と、同時にクスクスと笑い始めた。  その人物は、ニート、ダメガネ、その他少数だ。  ニートの馬鹿はクスクスどころか、がっはははは! と笑っている。  あまりにも耳障りな笑い声に、その周りにいる女子とひ弱そうな男子が耳を塞ぐ。  だけど、文句は言わない。いや、言えないんだろう。  あいつに文句を言ったらなにをされるか分からない。  噂通りならニートの父親は国会議員だ。その気になれば、文句を言った当人ではなく、その両親に矛先が向くのだろう。  例えば、やってもいない犯罪をでっちあげたり。職を失う事になったり、とね。  でも、俺の場合そんな心配はない。  両親はどこかに行ったきり音信不通だし、兄弟もいない。  音信不通の両親になにかできるはずがないだろう。  それでも、問題は起こしたくないな。後処理が面倒だし。
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