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「宗~待ってよ~」
えーい、うるさいうるさいうるさい。
「美優と一緒に学校行くと、周りの奴らが変な目で見てくるだろ」
「え? 僕と一緒に行くの嫌なの?」
あれ? いきなり暗い声になった。
しかも後ろから追ってくる足音が聞こえてこない。
振り返ってみると、美優は立ち止って俯いていた。
これは可哀そうな事をしたかな。
ちょっと反省。
「ごめんな美優。そういうつもりじゃ……」
俺は美優に近づき、肩に手をかける。
「嫌だから、逃げてたんだよね」
「うっ……いや、その……」
「なんてね。隙あり~」
「へ? いでっ!」
美優がいきなり顔をあげて、俺に突っ込んできた。
朝と同じく避ける事ができなかった俺は、硬くて春の日差しで暖かくなっているコンクリートに頭を打ち付ける。
これは痛いです。
美優の奴は俺の胸に頬を擦りつけてくるし。
猫かお前は。
「とりあえずどけようか」
「嫌~。疲れたからもう少しこのままがいい~」
だから学校に遅れるんだっつーの!
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