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俺がトイレの後ろの壁に寄り掛かって目をつぶっていると、扉が開く音がした。
「やあ、新藤。逃げずに来たのは褒めてあげようね」
「褒め言葉よりも、そのメガネを俺にくれ。一瞬で粉々にしてみせるから」
最初に入ってきたのはダメガネ。その後ろにニート、その他二人、と。やはり四人……か。
「いだっ!」
先頭を歩いていたダメガネが急に転んだ。理由は簡単。俺の仕掛けた罠にかかったからだ。
「あははは! ざまぁ。まさか、壁から壁へと伸びている紐に綺麗に引っかかるなんて、マジで馬鹿だろ!」
俺は腹を押さえて、床に這いつくばるダメガネを指差しながら笑う。
「こんなもの」
と、後ろにいたニートがその紐を簡単に取り去る。まあ、予想通り。
この罠はただのおふざけだ。絶対に引っかかる奴なんていないって思ってたんだけど……ぷっ。
「わざわざ早く来て罠を用意してたみたいだな。その努力は認めよう。だけどな、圧倒的な暴力の前では、頭脳なんてもんは役に立たないんだぜ?」
おっ、ニートのやつ、初めて喋ったんじゃねぇか? まあ、それはどうでもいい。
圧倒的な暴力の前では、頭脳なんて役に立たない?
はっ、笑わせてくれるじゃねぇか。面白い。勝負だニート。
「もしもお前が勝ったら、今度からは脱ニートとお前の事を呼ばせてもらおう」
「なんの話だ?」
「お前の足りない頭じゃ、いくら考えても答えなんて出ないさ。早くかかって来いよ、ニート」
俺の言葉を聞いたニートは、顔を真っ赤にして、いまだに床を這っていたダメガネを踏みつぶしながら、俺の方に寄ってくる。
「いい度胸だ新藤。いや、哀れな被害者くん」
哀れな被害者? なんだそりゃ。
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