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「分からないか? 今は昼休みだ。そして、長い休憩時間でもある。おや? まだ気付かないか? 長い休み時間だって事は、問題が起きないように先生が見回りをしているはずだ」
ここまで言うと、ニートの顔面が青くなってきた。やっと気付いたみたいだな。
そう、巡回している先生がいるのなら、今の音を聞いたらすぐに駆けつけるだろう。
「新藤……この野郎ッ!!」
「あははは! さっきの勝ち誇った笑みは見てて実に愉快だったぜ。俺はな、自分が追い込まれてるともしらずに、そんな笑みを浮かべる奴を見るのが楽しくてしょうがないんだ。そして、そこから逆転された時の顔を見るのはもっと好きだ」
馬鹿だよな、本当に。ロッカーに取り付けてあったあの紐は、本命の紐を見つけにくくするための罠だ。
だからこそ、わざと見つけやすいように白い紐を使った。
人間ってのは目先の罠を見つけると、それ以上は探そうとしない心理を持つ。それを利用したわけだ。
「くそっ!!」
「おっと、俺に飛びかかってくる時間はあるのか? さっさと逃げた方がいいんじゃないの? バケツを落としてから約三十秒。そろそろ来るはずだが?」
ニートは舌打ちをすると、後ろに振り返り扉へと疾走する。ダメガネがその後に続いた。
床に転がっていた残りの二人は残したままだ。
本当にしょうがない奴だな。仲間を見捨てていくなんて。
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