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後は罠に使った紐を全て回収し、バケツの下に倒れやすくなるように挟んでおいた石も取れば、後はもう大丈夫だ。
さっさと教室に戻るかな。
「あっ、バケツも片付けなきゃな」
床に散乱しているバケツをロッカーの上に置く。
石はトイレの窓から下にある校庭の端っこに落とす。もちろん、下に人がいないのを確認してからね。
よし、これで本当に大丈夫だ。
後片付けが終了した直後、昼休みの終了を知らせるチャイムが鳴り響いた。
次の授業に遅刻しないためにも、俺は走ってトイレから飛び出す。
だが、すぐに誰かとぶつかってしまった。
「ぬぬー。痛いのじゃー」
俺がぶつかった少女は、床に尻もちをついたまま俺を見上げてくる。
長いポニーテールが地面に垂れている。そしてこの口調……うん。我らが生徒会長様だね。
「悪い、大丈夫か会長? つーかなんで男子便所の前にいるんだ?」
「大丈夫なのじゃ。でも、お主はもうちょっと周りを確認した方がよさそうじゃの?」
「悪かった」
「いいのじゃいいのじゃ。頭を上げるのじゃ。それよりも、この中で大きな音がした後に、四人出ていったけど、なにか起こったのかの?」
うっ、先生じゃなく会長さんに聞かれてしまったのか。
さーてと、どうするかなー。なんて言ったら事無きを得るのかな?
『実は、いじめられてるんだよね、俺』とか言ったらどうなる? 会長とはあまり話した事がないから、どうやって対応していいか分からん。
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