prologue-箱舟に寄せる…-

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『…ヌシにこれをやろう。』 竜が“嬢”に差し出したのは、額にあった白金の鱗。“嬢”の体の半分くらいはあるような大きさだった。“嬢”が不思議そうに手にすると…とても軽い。 「おじいちゃん、でも…」 『力比べをするだけじゃ。ヌシに当たらないようにの』 竜の鱗は竜の攻撃を防ぐ魔力がある為、闘いに関係のない“嬢”を竜は守りたいらしい。じっと鱗を見つめていた“嬢”が竜の尻尾を掴み、竜の身体を登りだした。竜が慌てる 『なっ!?何をしとるんじゃ!?』 「私が、おじいちゃんにくっついていたら、おじいちゃんもママ達もケンカ出来ないでしょ?」 『これこれ、よさないかっ』 「やだっ!!絶対ケンカさせないっ!!」 “グオオオー” 空気を震わせて吼えても、“嬢”は怯まず竜の頭に登りつめ、落ちないように角をしっかり掴んだ。 『離しておくれ、力が出ない』 「ケンカしないなら離してあげる」 『参ったのぅ…』 「陽菜ったらあんな所に!?」 “姫”が今にも、卒倒しそうな青ざめた顔で白銀の竜の頭を見ている… 「ティオ、陽菜を降ろしてっ」 「トレンシア、無茶な事を…」 「…」 ティオが無言で、浮き上がろうとすると
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