【第一章】

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魔霊宮の中でも、とびきり美形の二人がそろうと それは美しいだけでは表現できない程美しい。 聖夜はやはり肩に異形を乗せている。 大丈夫だろうか。 「なぁ聖夜、本当に式神なのか?」 『そうだよ。俺の式神』 「じゃぁ雅の知り合い?」 『さぁ?』 《こんなの知らな……あっ》 「もしかして知ってるのかっ」 流貴が がばっと振り向く。 《いや。知らない》 流貴が転ける。聖夜があわあわする。 「落ちつけ、お前ら」 本日、初めて異形クンは喋りました。 時が止まる。頭の中のBGMさえ消えてしまった。 そんな空気を破ったのは以外にも流貴だった。 「…え、あー、うん、と、そうっ、今から、会議っさー! 気をっとりなおして、行こうじゃないかっ」 『流貴が…カミカミ……』 (初めてみた…) こんな姿を周りが見ていたら どうだろうか。 一発で自分の流貴像が崩れてしまうだろう。 でも そんな流貴だからこそ聖夜は付き合えるのだ。 クールで、美形で、殿下で、頭よくて、舞技も持ち合わせてて、 でもどこか抜けてて、 本当は誰よりめ優しくて――― 聖夜がくすっと笑う。 流貴が目をつり上げて聖夜を見る。 「なに?」 「いやなんにも さあ仕事仕事」 「はいはい」 流貴が歩き出す。 聖夜は止まっている。肩に乗っている異形に声をかける。 「ね、おもしろいでしょ。俺の幼なじみだよ。 ━━璃桜」 すると璃桜と呼ばれた異形は目をなごませて頷いた。 「ああ。そうだな」
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